8月19日、「石川県原子力環境安全管理協議会」の傍聴

8月19日、石川県原子力環境安全管理協議会(安管協)が開催されました。
福島原発事故後、2回目の開催です。(初の開催は、4月14日でした)

メインの議題は「福島第一原発事故を踏まえた志賀原発の安全確認」と「発電用原子炉施設の安全に関する総合評価」(いわゆるストレステスト)について。
どちらも、原子力安全・保安院の原子力発電検査課の山本課長が国の見解・方針について説明しました。

福島第一原発事故に関しては、『津波が到達するまでは、安全上重要なシステムや設備、機器の被害は確認されておらず、正常に作動し、管理された状態にあったと考える『地震による施設への影響を詳細に評価した結果、安全昨日に問題は生じていなかったと推定できるというのが、国と東京電力の見解です。「・・・と考える」、「・・・と推定できる」というビミョーな表現ではありますが。

いまだに収束の見込みさえ立たない大事故の原因は、想定を超えた大津波と、それによる電源喪失。したがって「津波と電源喪失の対策をたてれば事故の再発は防げる」というのです。

この論法でいくと、
『志賀原子力発電所の運転継続及び運転再開は、安全上支障がない
ということになります。配布資料を見ると、「安全上支障がない 」の部分は赤い字でアンダーラインを引いて強調されています。(資料No.2-2の20ページをご覧ください。)
*配布資料一覧は、こちら。
http://atom.pref.ishikawa.lg.jp/resource/genan/ankan/ankan110819.pdf

津波に襲われるまえに地震によって配管破損し冷却材喪失事故が始まった可能性が当初から指摘されているにもかかわらず、そのことについてはまったく触れていないのです。
炉心が溶融し、原子炉だけでなく格納容器までも底が抜けているかもしれないのに、「五重の壁」は無残にも崩れ今なお漏れ続ける放射能が北半球に拡散しているというのに、山本課長は資料に書いてあることを、まるで他人事のように淡々と読み上げていきました。聞いていて、「保安院は東京電力とともに大事故を引き起こした当事者なのに、もしかしたら事故の当事者としての自覚も責任感もないのでは?」と心配になると同時に、福島でまだ進行中の大事故が「実は大したことではないのかも」という錯覚に陥りそうな気分でした。

保安院と北電の説明に対して、いつもは質問などほとんど出ないまま終了する安管協ですが、さすがに今回は地元志賀町長や隣接の七尾市長から、国説明に対して不安や疑問の発言が繰り返されました。
でも地元の町長、市長で発言したのはこの二人だけで、羽咋市長、中能登町長は発言なし。いつもは志賀町以外は、ほとんどの場合、課長が代理出席であることを思えば、首長が出席したことを評価すべきかもしれませんが。

ただし、ストレステストに関する質問が主で、残念ながら耐震性に関する質問はほとんどありませんでした。

志賀町の小泉町長からは「『志賀原発の運転再開は、安全上支障がない』なら、なぜストレステストが必要なのか?」、七尾市の武元市長からは「まだ原因究明をしている時にストレステストをやって、どこでどう“安全ですよ”と判断されるのか分からない」といった質問が出たのですが、山本課長は同じような分かりにくい説明を繰り返すばかりで、町長さんも市長さんもあれではとても納得はできなかったことでしょう。

ところが、安管協の議長である中西副知事は「ストレステストの結果については、国におかれましては再度、説明をお願いいたしたいと思います。実施につきましては、北陸電力は厳正に取り組んでいただきたい。国においては厳格な評価をお願いしたい」と、ストレステストの実施はすでに既成事実として取りまとめ、次の議題に進めてしまったのです。

議長の強引な議事進行よりも、もっと驚かされたのは、原子力工学の専門家である二人の委員の発言です。

★片岡勲・大阪大学工学部教授:
「手順さえしっかりしていれば、電源喪失しても、水の循環がなくでも、海水に熱を逃がせなくても、炉心損傷は防げたはずだと私は思う」と述べ、保安院と北電に対してその確認を求めたのです。

保安院の回答はそれまでと同じような説明の繰り返しでしたが、北電は「確実にベントをして云々」という回答で、意味がよく分かりませんでした。

★宮崎慶次・大阪大学名誉教授
「ハード面でのシビアアクシデント対策はできていたが、ソフト面の手順書がなかったことが問題だった」、「技術屋なら、何をすればよいか分かっている」と、いろいろ言いたい放題。

「今の対策が加われば絶対に炉心は損傷しない」というような発言もありました。お二人とも原子力工学の専門家だそうですが、どこの場でもこんな発言をされるのでしょうか。彼らの発言に対しては、他の委員から何のコメントもありませんでしたが、いくら何でも石川県民をバカにしきっているのではないでしょうか。

2号機はABWR(「改良型」沸騰水型)ですが、1号機は格納容器が福島第一と同じマークⅠ型で、おまけにプルサーマルが計画されているのです。
国と北電は「いま行なわれている2号機のストレステストは次回の安管協開催までに終了させ、次回の安管協で2号機運転再開を了承させる」と、計画しているのかもしれません。でもそんなことを許したら、志賀原発2号機が、停止中の沸騰水型原発の中で再稼動第一号になってしまうではありませんか!

「安全管理協議会」とはいっても、国と電力会社の言うことをただ追認するだけ。
これでは、名称を変更したほうがよいのではないでしょうか。こんなアンカンキョウの「協議」で、運転再開の是非が決められてしまうのでは困ります。
毎度のことですが、本当にストレスのたまるアンカンキョウの傍聴でした。

*議事録はこちらに掲載されています。(10月初旬に、やっとアップされました。)
http://atom.pref.ishikawa.lg.jp/resource/genan/ankan/ankan110819.pdf
(議事録は各委員が確認したものが正式記録になるので、トンデモ発言もすっきりまとめられています。発言者名がほとんど分からない不完全な議事録ですが、主な発言は次のとおりです。
11ページ:「国に責任をとってもらえるのか」という質問などは、小泉町長
12ページ:下から2行目から次のページにかけて、七尾の武元市長
16~17ページ:片岡委員、18ページ~:宮崎委員)

今まで安管協の配布資料・議事録は、こちらに掲載されています。http://atom.pref.ishikawa.lg.jp/box/kyougikai.html

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