プルサーマル 誰のための『国策』か

玄海原発のプルサーマル、とうとう試運転が始まってしまいました。
原子炉が起動された11月6日と翌7日の新聞で社説をチェックしてみたら、
プルサーマルについて書いているものがいくつもあったので、タイトルと
一部抜粋を 紹介します。
ざざっと見ただけなので、抜けているものもあるかもしれませんが、
地方紙の社説のほうが、結構しっかりと問題点を指摘しています。
ぜひ、読んでみてください。「まだまだ、諦めることはない!」という
気持ちになれると思います。 

北海道・プルサーマル 前のめり導入は疑問だ
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/198461_all.html
『 一方で、使用済みMOX燃料の処理法は、これから検討するという。
これでは「見切り発車」と批判されても仕方がない。
 民主党は、国際公約に掲げた温室効果ガスの25%削減には原発推進が必要と
の立場だが、原子力一辺倒でいいのか。
 技術革新を促し、自然エネルギーを組み込んだ安全な電力供給システムの構築
こそが求められている。』

信濃毎日・プルサーマル 情報公開を徹底せよ
http://www.shinmai.co.jp/news/20091106/KT091105ETI090009000022.htm
『高レベル放射性廃棄物を埋める最終処分場の見通しも立たない。MOX燃料を
燃やした後はどうするのかも決まっていない。
 新政権は核燃料サイクル政策にどう取り組むのか、将来像をはっきり示すのが
先決だ。』

新潟日報・プルサーマル 新たな将来像を描く時だ
http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/20091106.html
『・・・現状を踏まえ、核燃料サイクル政策自体の妥当性を論議する時
ではないか。
 使用済み核燃料の再処理は、直接地中に埋めて処分するよりコスト高となり、
ウランの節約効果は1~2割程度にとどまる。経済産業省はこんな試算をしてい
る。核兵器に転用できるプルトニウムの大量保有が国際的な理解を得られるかと
いう問題もある。
 政権交代が実現し、「原子力利用に着実に取り組む」とする民主党と「脱原
発」を掲げる社民党の連立内閣が発足した。現状を追認するのではなく、国民に
とってより良い原発の在り方について議論を仕切り直しし、新たな将来像を描く
好機と思える。』

福井・プルサーマル始動 高浜の安全性 十分なのか
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news6/index.php?page=2

京都・プルサーマル  課題残して動きだした
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html
『もう一つ、核燃料サイクルの「輪」が完結されていないため、見切り発車の懸
念をぬぐえない。
 国内で使用済み核燃料を加工する日本原燃の再処理工場(青森県)でトラブル
が続き、完成が延びている。これでは自前でプルトニウムを抽出し、適切に使っ
ていくめどが立たない。
 使用済みのMOX燃料など高レベル放射性廃棄物を埋める最終処分場の選定も
進まない。プルサーマルと同様にMOX燃料を利用し、核燃料サイクルの切り札
とされる高速増殖炉もんじゅ(福井県)は14年間停止したままだ。
 プルサーマルは来年以降、四国電力の伊方原発(愛媛県)や中部電力の浜岡原
発(静岡県)でも順次始動する見通しだ。原発を抱える地域は、将来にわたって
大きなリスクを背負う。
 新たな試みに踏み出す以上、国や電力会社は安全性への疑問と不安を取り除く
努力が一層必要となる。単なる情報公開にとどまらず、わが国のエネルギーの将
来像や政策の提示、積極的で懇切丁寧な説明を求めたい。』

神戸・プルサーマル/核サイクルへ不安な船出
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0002496940.shtml
『実施が遅れたのは、輸入されたMOX燃料の検査データ捏造(ねつぞう)や電
力会社の不祥事が重なったためだが、それを差し引いても前途はそれほど楽観で
きる状況ではない。
 使用済み核燃料の再処理と国産MOX燃料の製造拠点である青森県六ケ所村の
再処理工場がトラブル続きであることも懸念の一つだ。高レベル廃棄物の処理工
程で作業のやり直しが続く。近く着工予定のMOX燃料工場も、安全審査にてこ
ずる。
 プルサーマルは欧米などで約40年前から実施され、原発での大きなトラブル
は報告されてない。しかし、再処理に要するコストを理由に路線を見直す国もあ
る。経済産業省の試算では、地中に埋めて処分するより数倍費用がかかり、燃料
のウランの節約効果も期待されたほどではない。
 日本が保有するプルトニウムは30トンに迫り、原爆数千発分。国際的監視が
強まるなか、これ以上、増やしたくない事情があるとはいえ、プルサーマル始動
には深い霧の中を船出する心細さがつきまとう。』

愛媛・プルサーマル始動 国は大きな責任を背負った
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200911073260.html
『とうとうパンドラの箱を開けてしまった。そんな思いがどうしてもぬぐえな
い。・・・
 使用後のMOX燃料についても、処理方法は未定。苦しい理屈を積み上げた上
で、国民の理解を得ない見切り発車だと言わざるをえない。
・・・
 炉内では制御棒の挿入などで核分裂を調整するが、プルトニウムはウランより
も中性子を吸収し、核分裂を起こしやすいため制御が難しいとされる。九電は
「燃料配置の工夫」を挙げ、海外でトラブルがないことなどで「安全性を確信し
ている」とする。
 しかし、ことさら安全を強調する姿勢は、裏返せば大きな危険と背中合わせと
いう現実を抱える。綱渡りとも言える運転に国民の懸念は深い。
 電力はむろん、暮らしに欠かせない。しかし国民の安心安全も同時に保障しな
ければならない政府の方針として、プルサーマルは果たして最良の選択肢なのか。
 国は重い責任を背負ったことを自覚すべきだ。』

西日本・プルサーマル 役者は本当にそろうのか
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/132875
『むしろ、私たちが懸念してきたのは国のいまの政策が適切かどうかだ。どうし
てもうまくいかず、大幅な軌道修正を迫られるようなことはないのだろうか。
 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減で原発が見直されて
いる。だが、放射性廃棄物がある。何でも一長一短ある。核燃料サイクルにかか
る費用と負担、効果を常に検証し、国民の理解を得る。この手順は不可欠だ。』
毎日・プルサーマル 課題視野に安全第一で
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091106ddm005070005000c.html

朝日・プルサーマル ー運転は厳しい目のもとで
http://www.asahi.com/paper/editorial20091106.html

日経・プルサーマルを着実に回そう(11月7日)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091106AS1K0600706112009.html

読売・プルサーマル 安全を心がけ軌道に乗せよ(11月7日)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091106-OYT1T01327.htm
最後に、発電が始まった11日になって掲載された東京新聞(中日も同じ社説)を
全文載せておきます。
プルサーマル 誰のための「国策」か 【中日新聞社説 2009年11月11日】
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009111102000041.html

プルサーマル発電の試運転が、佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発
電所で始まった。国内初だが、海外では撤退に向かう核燃料サイクル
計画は、「国策」として続けていくに足るものか。

 プルサーマルとは、原発で使用済みになったウランの燃えかすから
プルトニウムを抽出し、新しいウランに混ぜてもう一度燃やす、燃料
リサイクルである。

 本来ならば一九九九年、関西電力高浜原発か、東京電力福島第一原
発が「第一号」になるはずだった。ところが、MOX(ウラン、プル
トニウム混合)燃料の品質管理データ改ざん問題などで、計画は頓挫
した。十年の遅れを生んだもの、それは原発につきまとう、トラブル、
隠ぺい、そして不信の連鎖にほかならない。

 玄海3号機は、何とか始動にこぎ着けた。来月には営業運転を開始
する。が、不信がぬぐい去られたわけではない。MOX燃料を供給す
べき青森県六ケ所村の再処理工場は、トラブルの連続で完成が十七回
も延期されてきた。

 使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」は「国策」という。
ただし、発電すればするほど燃料が増える高速増殖炉がその本命だっ
た。しかし、実用化のめどは立っていない。“つなぎ”役のプルサー
マルも制御が難しいとされるなど、技術的な疑問は多い。利用できる
プルトニウムは使用済み燃料のわずか1%、それ自体が猛毒だ。MO
X燃料の価格は、通常のウラン燃料の十倍近い。欧米では“再処理離
れ”が進む。

 使用済みMOX燃料の捨て方は決まっておらず、核燃料の「サイク
ル(輪)」は寸断されている。

 関係者はことあるごとに「安全」を強調するが、住民の不信と不安
がくすぶる中で見切り発車したという印象も否めない。それでも先を
急ぐのは、核兵器にも転用できる再処理済みのプルトニウムがたまり
すぎているからだ。

 来年度にかけて、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発なども、発
電開始をめざしている。

 民主党政権下でも「国策」は変わっていない。エネルギー自給率4
%のこの国で、政府や電力事業者は「国策」遂行に邁進(まいしん)
し、そのために不信を呼んだ。安全確保、情報公開は当然だ。その上
で、少し立ち止まって考えたい。安全、コスト、将来性、ライフスタ
イルなどの面から、私たち消費する側も交えて「国策」を冷静に論じ
合い、見直しを図るべきだろう。

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